電気通信工事とは?電気工事との違い・資格・年収・やりがい徹底解説


電気通信工事とは?電気工事との違い・資格・年収・やりがい徹底解説

 

誰でも当たり前に使っているインターネットやスマホ。その裏側を支えているプロフェッショナルの仕事を知っていますか?

それが今注目を集める電気通信工事の世界です。

電気通信工事は、通信インフラを整えるために欠かせない重要な役割を果たしています。

 

「電気工事とは何が違うの?」

「電気通信工事ってどんな仕事?」

「資格は必要なの?」

「よくわからないけど、大変そう!」

そんな疑問やイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。

 

この記事では、電気通信工事の基本から、電気工事との違い、必要な資格、さらには業界の気になる年収や将来性までわかりやすく解説します!

私たちの生活に必要不可欠な通信インフラを支えるプロフェッショナルの世界を、ぜひ最後までご覧ください。

 

1.電気通信工事とは

 

電気通信工事は、情報を送受信する通信設備を構築・維持する工事のことです。

 

インターネットや電話、テレビ、無線LANなどのデータ通信を行うための設備を設置、また設置に伴う電気工事のことを「電気通信工事」といいます。(これらの工事では、電圧が48V未満の弱い電力を扱うため「弱電工事」と呼ばれます。)

 

電気通信工事では、データや情報を早く、安定して、正確に届けることを目的としています。

例えば、「スマホでサクサク動画が見られる」「家でインターネットが快適に使える」のは、電気通信工事のおかげなのです。

 

電気通信工事の代表的な5つの工事

 

ここからは、私たちの身近にあり馴染みのある、代表的な5つの電気通信工事について解説していきます。

 

 1 電話工事

 2 LAN・インターネット工事

 3 放送設備工事 

 4 テレビ共聴放送設備工事

 5 弱電設備工事

 

 1 電話工事

 

その名の通り、電話を使えるようにする工事です。

オフィスや家庭での電話回線の敷設や、ビジネス用途で使われる内線電話(PBX)などの工事を行います。

 

具体的な作業

屋外:電柱から建物内部(家庭や会社)に電話線を引き込む。

屋内:電話線の配線、電話設備の新設、増設。

 

屋外工事では、高所作業があります。天候や気温によっては体力的に厳しく感じる場面もあります。

 

 2 LAN・インターネット工事

通信環境を構築するための工事です。

コンピューターやスマートデバイスがインターネットや社内ネットワークに接続できるよう、LANケーブルやWi-Fiルーターの設置を行います。

 

具体的な作業

屋外:電柱から、インターネット回線を引き込む。

屋内:パソコンをネットワークに接続するためのLAN配線。

   光回線接続工事やWi-Fi設置。

 

LAN工事では、室内の動線に合うような配線の工夫が必要です。

 

 3 放送設備工事

 

音声や映像を特定のエリアに届けるための工事です。

学校の校内放送やイベント会場のアナウンス設備などが対象になります。

 

具体的な作業

設備の設置作業:スピーカー・アンプ・マイクなど

配線作業: 配線ルートに沿ってケーブルを敷設する。

 

配線ミスや接続不良がないよう、配線図を基に慎重に作業します。

学校、商業施設、病院など、幅広い現場で活躍できます。

 

 4 テレビ共聴放送設備工事

 

テレビを見られるようにする工事です。

集合住宅や施設で、アンテナから受信したテレビ放送を各部屋に分配。地上波放送やBS・CS放送の受信が可能になります。

 

具体的な作業

・波状況を確認し、屋根やベランダなどにアンテナを設置する。

・アンテナから受信した信号を各部屋に分配するための分配器を設置。

・建物内の各部屋まで同軸ケーブルを配線する。

・各部屋にテレビ用のアウトレット(端子)を設置する。

 

テレビ共聴放送設備工事では、電柱からのケーブル引き込みや、アンテナを設置する際に高所作業があります。

 

 5 弱電設備工事

 

電圧が48V以下の弱い電気を使う設備を整備する工事です。

 

具体的な作業

・防犯カメラや録画システムの設置。

・マンションやオフィスのインターホンシステムの設置。

・セキュリティーゲート、ナースコールなど。

 

配線や接続がメインなので、力仕事はあまりありません。

 

2.電気通信工事と電気工事の違いとは

それでは、電気工事とは何が違うのでしょうか?

 

主な違いは下記の通りです。

比較項目 電気通信工事 電気工事
扱う電力 小さな電力 大きな電力
扱うもの 弱電工事通信設備(光回線、LAN、Wi-Fiなど) 強電工事電力設備(配線、照明、コンセントなど)
目的 情報やデータの送受信を実現すること 電気を安全かつ効率的に供給すること
工事例 インターネット回線の設置、Wi-Fi機器の設定 照明・コンセント設置、電線の配線工事

 

電気通信工事と電気工事の違いは、「扱う電力の大きさ」「工事の目的」の違いにあります。

電気通信工事は「弱い電力を扱う」工事なのに対し、電気工事は「強い電力を扱う」工事を行います。

また、「工事の目的」で比較すると、

電気通信工事は「データや情報を早く、安定して、正確に届けること」、

電気工事は「電気を効率的かつ安全に供給すること」を目的にした工事です。

 

電気工事について簡単にご説明します。

 

電気工事は、電力を供給するための設備を扱う仕事です。

住宅やビル、工場などで、電気が安全に使えるように配線をしたり、設備を設置・修理するのが主な役割です。(そういった強い電力を扱う工事のことを「強電工事」といいます。)

 

電気工事の目的は、電気を効率的かつ安全に供給すること。

たとえば、「家の照明が点く」「工場の機械が動く」といった当たり前のことを実現するのが電気工事の仕事です。

 

電気通信工事も電気工事も、それぞれ違う分野ですが、生活やビジネスの基盤を支える大切な仕事ですね。

 

3.電気通信工事の業務に役立つ!おすすめ資格4選

 

電気通信工事の資格には様々なものがあります。

ここでは特に役立つ、おすすめ資格を4つご紹介します。

 

資格名 受験資格 合格率 難易度
工事担任者 誰でも受験可能 第2級:約52%      第1級・総合通信:25~35% ★★★☆☆ 
電気通信主任技術者 誰でも受験可能 伝送交換:26.8%       線路:39.1% ★★★★☆ 
電気通信工事施工管理技士 実務経験が必要 1級:約21%(1次2次合格)

2級:約23%(1次2次合格)

★★★★★
電気工事士 第二種:

誰でも受験可能 第一種:    実務経験が必要

第二種:60~70%     第一種:50~60% 第二種:  ★★★☆☆ 第一種:  ★★★★☆

 

詳しく見ていきましょう。

 

 1. 工事担当者

 

電気通信回線の接続工事を行うために必要な国家資格です。

アナログ(第1級・第2級)とデジタル(第1級・第2級)、総合通信があります。

下記は過去6回分の平均合格率です。

 

(2022~2024)

試験種別 平均合格率 難易度
第1級アナログ通信 約35.3% ★★★★☆
第2級アナログ通信 約51.8% ★★★☆☆
第1級デジタル通信 約26.5% ★★★★☆
第2級デジタル通信 約53.9% ★★★☆☆
総合通信 約27.3% ★★★★☆

参考:電気通信国家試験センターhttps://www.dekyo.or.jp/shiken/assets/files/articles/370/files370674fd773471f2.pdf

 

 2. 電気通信主任技術者

 

電気通信ネットワークの工事、維持、運用を監督する責任者として重要な国家資格です。

伝送交換主任技術者と線路主任技術者の2種類があります。

過去6回の結果を見てみると、伝送交換主任技術者の平均合格率は約26.8%と、難易度は高めです。

 

(2021~2024)

試験種別 平均合格率 難易度
伝送交換主任技術者 約26.8% ★★★★☆
線路主任技術者 約39.1% ★★★☆☆

参考:電気通信国家試験センター

https://www.dekyo.or.jp/shiken/assets/files/articles/2320/files2320669db64c8663a.pdf

 

 3.  電気通信工事施工管理技士

 工事現場の監督や管理を行うために必要な国家資格です。特に大規模プロジェクトでの信頼性を確保するために必要な資格。

1級と2級があり、1級は大規模工事に従事するために不可欠です。

 

(2019~2022)

試験区分 平均合格率 達成
1級第一次検定(学科試験) 約51.30% ★★★☆☆
1級第二次検定(実地試験) 約40.06% ★★★☆☆
2級第一次検定(学科試験) 約65.42% ★★☆☆☆
2級第二次検定(実地試験) 約35.62% ★★★★☆

参考:国土交通省 技術検定試験について

https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/tochi_fudousan_kensetsugyo_const_fr1_000001_00025.html

 

上の表を見ると、一次検定を通過し、その後二次検定も合格された方の割合は、全体の約20%となります。

令和6年から受験資格が変更され、一次検定の実務経験の要件がなくなりました。

とはいえ、これまで実務経験を積んだプロばかりが受ける試験で、8割近くが不合格となる試験ですので、難易度はかなり高いと言えます。

 

 4. 電気工事士

電気設備の工事や保守を行うための国家資格で、第一種と第二種があります。

第一種電気工事士は、小規模工場やビル等での高圧設備を含む幅広い工事が可能。

第二種電気工事士は、住宅や小規模店舗等、低圧電気工事に限定されます。

 

(2020~2024)

試験区分 平均合格率 達成
第1種電気工事士(筆記) 約56.66% ★★★☆☆
第1種電気工事士(技能) 約62.21% ★★★☆☆
第2種電気工事士(筆記) 約57.58% ★★★☆☆
第2種電気工事士(技能) 約72.1% ★★☆☆☆

参考:一般社団法人電気技術者試験センター

https://www.shiken.or.jp/ecee-overview/press/list.html

 

4.電気通信工事の気になる年収は?

 

電気通信工事に従事する技術者の平均年収は、職種や資格、経験年数、勤務先の企業規模などによって大きく異なります。

以下に主な職種別の平均年収をまとめました。

 

電気通信工事施工管理技士

平均年収: 約529万円 年収範囲: 約350万円~770万円

国税庁の「令和3年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均年収は443万円であり、電気通信工事施工管理技士の平均年収はこれを約2割上回っています。

 

1級電気通信工事施工管理技士

平均年収: 約544万円 年収範囲: 約250万円~1,200万円

経験や勤務先によって大きく変動します。

 

電気通信工事技術者(資格なし)

平均年収: 約350万円~450万円 

公的なデータは少ないものの、未経験からでも始められる職種であり、経験を積むことで収入アップが期待できます。

 

電気通信工事業界の企業別平均年収ランキング

 

電気通信工事業界 平均年収ランキング(2022-2023年)
順位 企業名 平均年収(万円)
1 コムシスHD 928
2 ダイダン 898
3 きんでん 850
4 東光電気工事 823
5 東邦電気工業 804
6 日本電設工業 779
7 富士古河E&C 772
8 エクシオグループ 772
9 NECネッツエスアイ 763
10 中電工 748

参照:業界動向サーチ https://gyokai-search.com/4-koji-nensyu.html

 

5.現役工事士に聞きました「電気通信工事のやりがいとは?」

 

ここで現役の電気通信工事士に聞いた、実際の声をご紹介します。

 

・社会のインフラを支える使命感と誇り

 「『これで子どもたちがオンライン授業を受けられるようになりました』との感謝の言葉 をいただき、社会の基盤を支える使命感と誇りを感じました。」

 

・自分成長につなげられる

 「電気通信業界は、常に技術が進化していて、新しい知識やスキルを学び続ける必要があ ります。最新機器を操作する経験を通じて、自分自身のスキルが大きく向上しました。」

 

・チームで目標を達成する充実感

 「電気通信工事は一人ではなく、チーム全員で協力して進める仕事が多いです。プロジェ クトの終了後、チーム全体で達成感を共有できた瞬間は忘れられません。」

 

・自分の仕事が形として残る達成感

 「自分が責任をもって手掛けた仕事が、家庭やオフィスで長く活用されていることに、大 きな達成感とやりがいを感じます。」

 

電気通信工事の仕事は、社会の基盤を支えるやりがいがあり、とても誇りを感じられるものです。技術が日々進化していく中で、新しいことを学びながら成長できるのも魅力の一つ。さらに、チームで協力して目標を達成する喜びや、自分の仕事が形として長く残る達成感も大きなやりがいにつながっています。

 

6.電気通信工事業界の将来性は明るい!

 

電気通信工事業界が今後どうなっていくか気になる方も多いと思います。

結論、電気通信工事業界の将来性は明るく、今後も成長が期待される分野です。

 

下記に詳しく説明します。

 

 1. 継続的な需要がある

 

・5G、次世代通信技術の普及

5Gの導入により、通信インフラ整備が進み、電気通信工事の需要が伸びています。

将来的には6Gの導入も検討されており、将来にわたり継続的なインフラ整備が求められています。

 

・IoT時代の到来

IoT(身の回りのさまざまなものをインターネットに接続する技術)の普及により、高度な通信ネットワークが必要。結果、電気通信工事の需要も増えています。

 

・光回線の普及

高速で安定したインターネット接続のニーズから、光回線への移行が進んでいます。

光ケーブルの敷設や関連工事の需要が引き続き見込まれます。

 

・その他にも、災害復旧、テレワークの浸透、AIロボットの普及など、電気通信工事は今後も継続的に需要があります。

 

 2. 人材不足と高齢化問題

 

「危険な作業が多い」「休日出勤が多い」など、労働環境に対するマイナスイメージから、若手の入職が少なく、人材不足と高齢化が進んでいます。

そのため、労働環境の改善や人材育成に力を入れる会社が増えてきています。

 

電気通信工事業界は、今後も需要が見込まれる分野でありながら、人材が不足しています。

今のうちに資格取得や、スキルを磨くことで、将来大きな活躍の場が広がる可能性があります。

 

7.まとめ

 

本記事では、電気通信工事について詳しく解説しました。

 

・電気通信工事とは、情報を送受信する通信設備を構築・維持する工事

・電気通信工事には「電話工事」「LAN・インターネット工事」「放送設備工事」などがあ る。

・電気通信工事と電気工事の違いは「扱う電力の大きさ」「工事の目的」の違いにあり。

・電気通信工事のおすすめ資格、「工事担当者」「電気通信施工管理技」「電気通信主任技 術者」「電気工事士」

・電気通信工事の年収は資格や経験により大きく差がある。

・電気通信工事は、社会インフラを支える使命感・自己成長できるなど、やりがいがある

・電気通信工事業界の将来性は明るい!

 

電気通信工事業界は、今後も需要が見込まれる、将来性がある分野です。

今から資格取得や、スキルを磨くことで、将来大きな活躍の場が広がる可能性があります。

もちろん、資格がなくても、業界に飛び込んでスキルを磨きながらの資格取得も十分可能です。

 

当社では、ともに活躍してくださる仲間を募集しています。

未経験の方でも、基礎からスキルを磨いていただけるよう、研修にも力を入れています。

経験者の方は即戦力としてお力をお貸しください。

 

共に成長し、新しい時代のインフラを築いていける仲間を心からお待ちしています。

まずはお気軽にお問い合わせください。

 

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